
今回は、人事として目覚ましい活躍をされている北村さんにインタビュー。営業職としてキャリアをスタートし、驚異的なスピードで昇進。その後、予期せぬ形で人事の世界へ。
年間100名以上の採用をこなし、会社の成長を根幹から支える北村さんが語る、人事の仕事の厳しさ、そして何にも代えがたいやりがいとは。
採用の裏側から組織作りへの情熱、そして今後のキャリアプランまで熱く語っていただきました。
目次
- 1 まずは人事としての具体的なお仕事内容について教えていただけますか?
- 2 数あるお仕事の中でなぜ人事の道を選ばれたのでしょうか?
- 3 実際に働いてみて入社前に抱いていたイメージとのギャップはありましたか?
- 4 人事の仕事で感じる最大のやりがいや楽しさは何でしょうか?
- 5 反対に人事ならではのきつさや大変だと感じる瞬間はどんなときですか?
- 6 代表的な1日のスケジュールとお仕事中の時間の使い方について教えていただけますか?
- 7 人事に向いている人と向いていない人はそれぞれどのようなタイプだとお考えですか?
- 8 今後のキャリアプランについて現時点でどのようにお考えですか?
- 9 最後にこれから未経験で人事を目指そうと考えている方々へアドバイスをお願いします!
まずは人事としての具体的なお仕事内容について教えていただけますか?
現在の人事部の業務は大きく2つあります。1つ目は採用活動です。特に営業職の採用がメインで、毎年120名規模の採用目標があります。これに加えて、Webディレクターやエンジニアなど、他部署から依頼があった場合に専門職の採用も行っています。
多い時は1日に7件の面接が入ることもありますね。採用手法としては、紹介会社経由だけでなく、Indeedなどの無料媒体も活用して、コストを抑えながら目標達成を目指しています。求人記事の作成も自分たちで行っています。
2つ目の大きな業務は、人事制度の整備です。具体的には、賞与基準や人事評価制度の取りまとめを行っています。これまではグループ内の各社で評価基準が異なり、データ管理も十分ではなかった部分を、人事部として一元化し、適正な運用を目指しているところです。
数あるお仕事の中でなぜ人事の道を選ばれたのでしょうか?
私のキャリアはフリーターから始まりました。人と話すのが好きというシンプルな理由で営業職を志望し、今の会社に営業として入社したのが最初のステップです。そこで7年間、BtoCの営業を経験。入社1年で主任、その後課長、副部長、部長と、5年間で部長まで昇進させていただきました。
その後、会社の事業再編に伴い営業の内勤統括に異動したのですが、そこで大きな転機がありまして。当時、人事部の前身である採用支援部が新たなメンバーを募集しており、その際に「人事をやってみないか」と声をかけていただいたんです。それがきっかけで、2年半ほど前から人事の仕事を担当しています。
実は内勤統括の業務に慣れた頃、更にキャリアアップをしたいと思っていまして。そんな悩みを抱えていたタイミングで、先ほどお話しした採用支援部のメンバー募集という出来事があり、「人事」という専門職への異動の話をいただきました。
人事という仕事には元々興味がありましたし、自分自身のキャリアを考えた上でも、専門性を高められる良い機会だと捉え、非常に前向きな気持ちで異動を決めましたね。会社の内側から組織づくりに関われるという点にも魅力を感じていました。
実際に働いてみて入社前に抱いていたイメージとのギャップはありましたか?
まず良かった点としては、会社の内側を深く知ることができたことですね。営業時代には見えなかったバックオフィスの動きや、会社がどうやって成り立っているのか、売上を上げるために各部署がどう連携しているのかといった全体像を理解できたのは大きな収穫でした。
逆に想像と違った点、大変だった点で言うと、思った以上に面接の数が多いことですね。営業の管理職をしていた頃は、人事は勝手に人を紹介してくれる部署、というくらいの認識でした。
ですが実際にやってみると、部署で年間400名以上の面接をこなすこともあり、その調整や対応だけでも大変です。常に同じテンションで応募者の方に接しなければならないので、精神的なタフさも求められます。
また、社内外の本当に多くの方と連携を取らなければならない点も、想像以上でした。社長や副社長に面接をお願いすることもありますし、各部署の責任者、そして150社ほど契約している紹介会社とのやり取りも日常的に発生します。
各部署の業務内容を深く理解していないと適切な採用ができないため、部署ごとの仕事内容をヒアリングして回るのも重要な仕事の一つで、「これが人事の仕事なんだ」と最初は少し意外に感じましたね。
人事の仕事で感じる最大のやりがいや楽しさは何でしょうか?
やりがいはいくつかありますが、特に大きいのは2つですね。
1つ目は、やはり採用した方々が社内で活躍してくれる姿を見ることです。営業職で入社した方が成果を上げて、「この会社に入って良かったです」と言ってくれた時や、昇進・昇格した際に感謝の言葉を伝えられた時は、本当に嬉しいです。
私自身がそうであったように、フリーター経験者や大学中退者など様々な経歴を持つ方が、当社で再起して活躍してくれるのを見ると、自分の経験も活かせて人の人生の転機に関われたという大きな喜びを感じますね。
2つ目は、緊急かつ重要なポジションの採用を成功させられた時です。先日も組織としてどうしてもこの人がいないと立ち行かない、という非常に重要な採用案件があったのですが、それを無事に決めることができた時は本当に涙が出るほど嬉しかったです。自分の仕事が会社の危機を救い、未来を繋いだと実感できる瞬間は、何にも代えがたいやりがいですね。
それから少し意外な点かもしれませんが、多くの紹介会社の方々と日々やり取りする中で、お互いに信頼関係を築き、一種の戦友のような絆が生まれることもこの仕事の面白さだと感じています。忙しい中でもお互いを気遣い、情報交換をしながら目標に向かっていく過程は大変ですが充実感があります。
反対に人事ならではのきつさや大変だと感じる瞬間はどんなときですか?
きついと感じる場面もいくつかありますね。特に、内定を出した後のフォローアップは精神的に一番プレッシャーがかかるかもしれません。重要なポジションであればあるほど、入社までの間に候補者の不安を取り除き、他社に流れないように繋ぎとめるための細やかなコミュニケーションが求められます。
例えば、定期的な状況確認の連絡や会食のセッティングなど、入社意思を固めてもらうための努力は欠かせません。早く入社してほしい会社側の思いと、慎重に考えたい候補者側の思いの間で板挟みになることも多く、この調整は非常に神経を使います。
また、上層部の方針変更によって採用計画やフローが急に変わることもあります。そうなると、それまで進めてきたことを一度リセットして、新しい方針に合わせて一から構築し直さなければなりません。紹介会社への説明や候補者への対応変更など、関係各所への影響も大きく、その調整に奔走するのは大変ですね。
あとは上司間で意見が異なる場合、その間に立って調整しなければならない場面も、正直きついと感じることはあります。それぞれの指示の意図を正確に汲み取り、自分なりの考えを持って最適な解決策を提示できるようにならなければと、日々痛感しています。
代表的な1日のスケジュールとお仕事中の時間の使い方について教えていただけますか?
- 10:00出勤
- 10:10求人サイト確認・応募者対応
- 11:00面接
- 14:00昼食
- 15:00ミーティング
- 16:00面接
- 19:00メール・電話対応
- 20:30退勤
フレックスタイム制を利用していて、始業は8時から10時の間で自由に決められます。18時や19時に面接が入ることもあるので、10時から出社することが多いですね。
一日の流れとしては、まず出社したら無料求人媒体の応募者対応、例えばIndeedなどのサイトをチェックして対応します。その後、大体11時頃から面接が入り始めます。
面接の合間には社内外とのミーティングが入ることが多いですね。採用要件のすり合わせや、営業部門との定例ミーティングで採用進捗の共有などを行います。
その他にも、応募者の方や紹介会社からの電話やメールへの対応も随時行っています。この条件で認識は合っているか、といった細かい確認作業も頻繁に発生します。ミーティング・面接・メールや電話に対応しているうちに、一日があっという間に過ぎていく感じですね。
人事に向いている人と向いていない人はそれぞれどのようなタイプだとお考えですか?
まず「向いている人」で言うと、何よりも物事を前向きに捉えられる人。これが一番大事だと思います。採用業務では方針の変更が頻繁にありますし、時には内定を出した方に出せなくなるなど、候補者にとってネガティブな連絡をしなければならない場面も出てきます。
そういった状況でも、それを自分の成長の糧と捉え、前向きに取り組める姿勢は不可欠ですね。また、会社の状況に応じて、自分たちで作り上げたフローを0から構築し直すような事態も起こり得るので、そういった変化を「自分たちで新しいものを作っていけるチャンス」と楽しめる人が向いていると思います。
逆に「向いていないかもしれない人」は、一人で黙々と作業したいタイプの人でしょうか。人事の仕事は、社内外の非常に多くの人とコミュニケーションを取りながら進めていきます。なので、人と接することが苦手だったり、決まった業務だけをこなしたいという人には少し難しいかもしれません。
また、常に会社の顔として対応することが求められるので、日々のテンションを高く保ち、明るく人と接することができる人でないと、紹介会社や求職者の方にマイナスの印象を与えてしまう可能性もありますね。
今後のキャリアプランについて現時点でどのようにお考えですか?
短期的には、まず採用支援という現在の業務領域から、人事としての専門性をさらに高めていきたいと考えています。現状はまだ前身である「採用支援部」時代の役割が残っている部分もあり、そこから脱却して、名実ともに会社の人事機能を担える体制を整えていくことが目標です。
長期的には、この会社が本当に大好きなので、ずっと会社のフロントとして貢献していきたいという気持ちが強いです。欲を言えば、人事部長を目指して今後もキャリアを積んでいきたいですね。そのためには、今の採用業務をしっかりとこなしつつ、人事評価制度の設計や社員研修の企画・実行など、より専門的な人事の領域で実績を積んでいく必要があると考えています。
今後は、人事設計がきちんとできる人材として、例えば役職者研修のプログラムを自分で考案し、それを発信できるようになるなど、より主体的に組織作りに貢献できるスキルを磨いていきたいです。
最後にこれから未経験で人事を目指そうと考えている方々へアドバイスをお願いします!
これから人事を目指す方にお伝えしたいのは、たった一つです。それは「自分が働く会社のことを心から好きだ」と自信を持って言えるようになること。これに尽きると思います。
人事はどこまでいっても会社のフロントマンです。紹介会社に対しても求職者の方に対しても、会社の魅力を自分の言葉で伝えられなければなりません。私自身、今の会社に10年近くいますが、「この会社が大好きで、一緒に働きませんか?」と心から言えることが、何よりの説得力になっていると感じています。
会社の好きなところは、どんな些細なことでもいいんです。例えば、過去に自分が仕事で成果を出せた時のエピソードや、上司や先輩が自分のために時間を使ってくれた経験などを多角的に振り返ってみると、自社の良いところが見えてくるはずです。
そういった具体的なエピソードを交えながら、自分の言葉で会社の魅力を語れるようになる。その準備をしっかりとしておくことが、人事として活躍するための第一歩だと思います。
人事の仕事は大変なことも多いですが、会社の成長を直接的に支え、人の人生の重要な局面に立ち会える、非常にやりがいのある仕事です。ぜひ、自信を持ってチャレンジしてください。